伊賀には国指定の伝統的工芸品「伊賀くみひも」と「伊賀焼」があります。
匠が紡ぎ、受け継いできた技術を味わうことで伊賀の地に息づく感性に触れてみませんか。
江戸に残っていた組紐の技術・技法を明治三十五年、初代廣澤徳三郎が習得し、伊賀の地に持ち帰り開業したのが伊賀くみひもです。昭和51年に経済産業大臣が定める「伝統的工芸品」に指定されました。
江戸時代に武具として使われ、藤堂高虎公の時代に伊賀地域でも造られていました。当時の資料である「万川集海」の中に伊賀流忍者の武具として組紐が使われたと記されてもいます。
明治に入り、廃刀令により不要になった武具から着物の帯締めへと用途を変え用いられるようになりました。廣澤徳三郎氏が江戸組紐の技術を再び開花させ、伊賀の風土に組紐技術がよみがえり、伊賀が組紐の産地として大きく発展しました。
特に手で組みあげる手組紐は、全国生産額の90%を占めるまでになりました。全国に出回る多くの帯締め・羽織紐がこの伊賀で製造されています。
伊賀伝統伝承館・伊賀くみひも組匠(くみ)の里は伊賀の伝統産業である伊賀くみひもの体験と伊賀くみひもについて学べる施設です。
指導員の丁寧な指導のもと和室の畳に座って丸台でのくみひも体験ができます。
少人数でのご利用はもちろん、団体の方には広い会場での体験も可能です。
2階には組紐ができるまでの工程がわかる展示のほか、「伝統工芸士」の作品が展示されています。
体験スペースの他にさまざまな伊賀くみひもの製品を販売していますので、お買い物だけのご利用も可能です。
住所 | 伊賀市上野丸之内116-2 |
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お問い合わせ | TEL:0595-23-8038 ホームページ:伊賀くみひも 組匠の里 |
備考 | 開館時間 9:00〜17:00 休館日 休日を除く月曜日、12月29日〜1月3日 料 金 無料 駐車場 あり |
奈良時代から始まった歴史ある「伊賀焼」は、野性味と自然美が特徴的であり、伊賀國を治めていた筒井定次や藤堂高虎が茶人であった事から、茶の湯のセンスや心遣いも巧みに取り入れられています。昭和57年(1982)11月1日に、国の伝統工芸品に指定されました。
伊賀焼は元々、約1200年前(天平年間729〜749)に農民が農業用の種壷や生活雑器を焼いていた事が始まりとされ、奈良時代には伊勢の皇大神宮に献上した記録もあります。また、室町時代末期に活躍した太朗太夫・次郎太夫(戦国時代の陶工)が、享禄の頃(1528-1532)に丸柱で伊賀焼を再興したといわれ、「伊賀焼の創始者」とも云われています。
桃山時代に侘び茶が大成されると伊賀焼の持つ風情が千利休ら茶人に大変好まれ、大名間で献上品として利用されるほど珍重されていました。
寛文9年(1669)藤堂家三代・高久の時に原料である白土山の陶土の濫堀防止のため「御留山の制」が設けられ、陶工は信楽へ去り伊賀焼は徐々に衰退していきました。
その後、江戸時代中期にはいると、京都や瀬戸の陶工を招き釉薬の技術を学び、日用雑器が作られ伊賀焼は復興を遂げました。
この時期を「再興伊賀」と呼び、「再興伊賀」以降は茶陶はほとんど焼かれなくなる一方、行平鍋や土鍋などの耐熱厨房食器や日用雑器が中心となっていきました。
別名「七度焼」といわれ、高温で何度も焼成することによって自然と青ガラス質のビードロ釉と呼ばれるものができ、その自然美が「侘び」「寂」となり、特に茶陶においては右に出るものはないと高く評価され、他の追随を許さない伊賀焼。
伊賀焼には、300万年〜400万年前に堆積した古琵琶湖層といわれる地層で、【蛙目(がえろめ)粘土】と【木節(きぶし)粘土】という、どちらも耐火度が高い特徴を持つ「伊賀陶土」を使用します。
天保3年(1832)創業の伊賀焼の老舗。創業時に造られたという現存する日本最大の16連房の登り窯や、同じく国の登録有形文化財に指定されている大正時代築の旧事務所などを見学できます。
創業時より昭和40年代(1970頃)まで稼働していた16連登り窯は、この大きさで現存する登り窯としては日本ではこれだけだと言われています。
展示室や作陶体験を行える体験工房もあり、伊賀焼の魅力に触れることができます。